November 10112014

 ストーブを部分解禁する朝

                           森泉理文

業した高校(都立立川高)では、例年十一月一日が、スチーム暖房の解禁日だった。朝礼で校長が「都内の高校多しといえどもこんなに早く暖房をはじめるのは本校のみである」と威張ったものだった。公的な施設ではこのように暖房が解禁されるが、これが個人の家庭ともなれば、むろんこうはいかない。肌寒くなってきても、「まだ大丈夫、我慢できる」と、解禁を一日延ばしにするのが普通だろう。燃料費も馬鹿にならないし、一度暖房を入れてしまえばわずかな気温の差で止めたり点けたりするのは不可能に近いからだ。一度点けてしまえばそのまま春まで継続することになる。したがって、寒い部屋から「部分解禁する」のにも慎重にならざるをえない。作者は長野県佐久市に在住。東京などよりよほど寒い地方だから、もう「部分解禁」をされたころだろうか。『春風』(2014)所収。(清水哲男)




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