October 23102014

 二階へと上がってからの夜長かな

                           小西昭夫

っきり夜が長くなった。夕食もすんで二階へ上がる。今まで自分もいたリビングのテレビの音や家族の声が少し場所を離れることでよその家のように聞こえる。網戸を透かして外から部屋を見たり、ビルの屋上から自分の家の屋根を眺めたりするのと似た心持ちだ。平屋ではなく上がり下がりする階段がその距離感を生むのだろう。夏だと明るい時刻なのに夜の帳は降りてきて、ひとりの時間はたっぷりある。本を手に取ったり書きものをしたり、家族から離れて自分だけの固有の時間が始まる。『小西昭夫句集』(2010)所収。(三宅やよい)




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