October 16 2014
焼藷を二つに割つてひとりきり
西野文代
この頃は温暖化防止のためビルの屋上にサツマイモを植える企業を増えているという。雨風や日照りなどの厳しい環境にも強く葉を茂らせ、何より収穫の喜びがあるから人気なのだろう。何といってもサツマイモがおいしいのは今頃の季節。ピーと煙突を鳴らして屋台を引きながら焼き芋屋がやってくる。アツアツの焼き芋を新聞紙にくるんでもらう。家で作るふかし芋とは焦げ目のついた皮のぱりぱり感、割った時のしっとりホカホカ具合が全然違う。さて掲句では二つに割って湯気のたっている片方を「はいっ」と渡す相手もいない。こんな時一人で暮らす味気なさがつくづく感じられるものだ。アツアツの焼き芋だからこそ「二つ」と「ひとりきり」の対比に分け合う相手のいない寂しさを感じさせる。『それはもう』(2002)所収。(三宅やよい)
『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます
|