October 03 2014
鵙遠音魚板打ちても応答なし
景山筍吉
鵙の甲高い鳴き声は遠くまで届く。澄んだ秋の空気の中訪れた禅寺には人気が無い。どこか奥まった所でお勤めをしているのかも知れない。柱を見ると魚板と小槌がぶら下がっている。これが呼び鈴代わりかと早速叩いてみる。手応えのある音の割には中からの応答(いらへ)が無い。どこか心細くなる。寺へ悩み事の相談に訪ねたのであれば尚更のこと。因みに景山筍吉が敬虔なクリスチャンであった事を思うと、問うて答えのない不安な心を見てしまうのである。神仏に声は無い。他に<繰り返へす凡愚の日々の蚊遣かな><友情の嘘美しき月の道><キリシタン処刑跡なり蛇の衣>など。『白鷺』(1979)所収。(藤嶋 務)
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