September 1592014

 毎日が老人の日の飯こぼす

                           清水基吉

日は「敬老の日」だが、「老人の日」でもある。前者は国民の祝日、こちらは第三月曜日と法律で決まっている。「老人の日」はその前の祝日であったが、この日を移動祝日化するにあたって「移動」に全国の老人クラブなどの反対の声が高かったため、時の政府は苦肉の策として2001年(平成13年)の祝日法改正の際、同時に「老人福祉法」も改正し、2003年(平成15年)から国民の祝日である「敬老の日」を9月第3月曜日に変更するかわりに、2002年(平成14年)から9月15日を祝日ではない「老人の日」、9月15日〜21日の1週間を「老人週間」として、法律で定めることにしたのだった。「敬老の日」と「老人の日」とでは、大きく意味が異なる。句のように「老人の日」の主体は「老人」であるが、「敬老の日」のそれは老人には満たない年代の人々である。「飯こぼす」はよく見かける光景だが、当人は決してぼんやりしていたりするからではなく、注意はしていても止むを得ず「こぼす」結果になることを恥辱だとも思い、自身への怒りでもあるところが、なんとも切なくて辛い。『新版・俳句歳時記』(2001・雄山閣出版)所載。(清水哲男)




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