September 1192014

 涼新た卓布に木の匙木のナイフ

                           工藤 進

のテーブルクロスは真っ白に洗い上げた白のリネンでパリッとアイロンが当たっていそう。その上に揃えてある木の匙と木のナイフは手の温もりが感じられる。このテーブルに集う人から新たな物語が始まりそうだ。「涼し」はたまらない暑さにふっと感じる涼気だけれど、「新涼」は日常的に爽やかさな空気が感じられること。日差しはまだ強くとも、朝晩の涼気は秋のものだ。掲載句では物と物との質感の対比がくっきりしていて「涼新た」という爽やかな言葉を生かしている。ひんやりとした空気に、本格的な秋の訪れを感じる頃、こんな食卓で景色を眺めながらゆったりと食事をしてみたい。『ロザリオ祭』(2014)所収。(三宅やよい)




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