August 12 2014
指の力殺してブルーベリー摘む
平石和美
日本で本格的な栽培が始まったから30年余り、栄養価の高い健康食品として、またジャムや菓子などの材料として定着したブルーベリー。いまや、農園での収穫体験や、家庭の庭木にも栽培されることから、手軽にその果実を手にすることができる。ブルーベリーは蔓性の植物で、果実は木苺と同じように指先で触れればたやすく萼から離れる。息や気配など、感情を努力して押さえる意味で使われる「殺す」を、掲句では指先の微妙な力加減で使用しているが、やはり一読ぎょっとさせる効果がある。ブルーベリーの果実のやわらかさゆえのあやうさが表現され、力を込めてしまいたくなる相反する気持ちがどこかで芽生えていることも感じさせる。〈顎引いて蝗もつともらしき貌〉〈縞馬の鬣の縞秋うらら〉『蜜豆』(2014)所収。(土肥あき子)
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