August 02 2014
風鈴を鳴らさぬやうに仕舞ひけり
齋藤朝比古
ちょっとした瞬間の心理である。風鈴をはずして、別に鳴っても構わないのだけれどなんとなく、鳴らさないようにそっとしまうのだ。昔は、歩いていてどこからか風鈴が聞こえてくることもあったし、祖母の部屋の窓辺には風鈴付きの釣忍が吊るしてあったが、そういえば最近はほとんど聞くことがない。確かにこの暑さだと、日中は窓を閉め切ってクーラーをつけて過ごすから風鈴の出番がないのかもしれない。同じ作者に<風鈴の鳴りて遠心力すこし >。作者のように、せめて夕風のふれる風鈴の音色を楽しむ余裕がほしいなと思いながら、遠い記憶の中の風鈴を聞いている。『塁日』(2013)所収。(今井肖子)
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