July 1072014

 夏に負けヨドバシカメラ店の前

                           瀬戸正洋

雨が明けるとどんどん暑くなる。げんなりする蒸し暑さ。夏に勝てるのは高校球児とサーファーぐらいだ。普段から元気のない中高年などは早々と夏に全面降伏するしかない。それが巨大な家電量販店ヨドバシカメラの前っていうのだからこの暑苦しさの増幅は凄い。都会を詠むならこのぐらいのインパクトがなければ、新宿や池袋の雑踏やアスファルトの照り返しによる暑苦しさは伝えられないだろう。固有名詞の取り込みは時代の俳句を詠む大事な柱の一つだと思う。「ヨドバシカメラ」がいつまで読み手にわかる言葉であるかわからないが、この濁音の多い固有名詞を取り込むことで現代の夏を伝える効果があれば十分ではないかと思う。『B』(2014)所収。(三宅やよい)




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