June 1962014

 犬を飼ふ 飼ふたびに死ぬ 犬を飼ふ

                           筑紫磐井

心ついた時から何匹の犬と出会ったことだろう。家族が動物好きだったので犬と猫は絶やしたことがなかった。犬はシビアに家族の順位を決めるので五人兄弟の末っ子の私などは犬以下の存在で噛まれたり追いかけられたり散々だった。そんな犬たちも次々老いて死んでいったが一度犬を飼うと死んだ後の寂しさを埋めるように、また犬を飼い始めてしまう。結局最後は自分の老いと考え合わせて、最後まで面倒見切れないと判断した時点で「飼う」というサイクルも終わりを迎える。「犬」と「飼う」という言葉の繰り返しで、犬と人間の付き合いを、飼い主より先に死んでしまう犬への哀惜を、ひしひし感じさせる句だと思う。『我が時代』(2014)所収。(三宅やよい)




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