June 05 2014
優曇華やかほのなかから眠くなり
鴇田智哉
眠りにいつ陥るのか。その瞬間を見届けたいと思いつつ、寝かけたと意識した時には目覚めてしまうのがもどかしい。寝付きは自分でコントロールできないので、不眠症になると起きる時間を整えながらリズムを作るしかないという。掲句では眠気が「かほのなかから」やってくるというフレーズが魅力的だ。ぼんやりとした眠気と、柄を伸ばした優曇華の不思議な形状がほのかに通じ合う。眠気が結実すると柄の先の白い卵から夢が生まれる。優曇華にだぶらせて、言葉にできない感覚を言い当てている。掲句のような俳句を生み出すのに、作者は四六時中感覚のアンテナを張り巡らせて言葉への変換を意識していることだろう。ぼんやりした感覚を言葉で捉えるのにぼーっとしていてはダメなのだ、きっと。『こゑふたつ』(2005)所収。(三宅やよい)
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