May 22 2014
初夏やきらめくわたしのフライ返し
関根誠子
フライ返し!日々使うことはあってもその存在自体まじまじと意識したことはない。お玉や菜箸と並んで壁に吊り下げられて出番を待っている金属のへらが初夏の光を受けてきらめいている。普段は気にも留めないフライ返しの輝きに、はっとした作者の気持ちが伝わってくる。玉子焼をひっくり返して、チャーハンを炒めてと、フライ返しは家族の食事を作るのに欠かせない道具。そう思えばほかの誰でもない「わたしの」と強調したい気持ちが同じ主婦としてよくわかる。生活の一部になっているものを季節の訪れとともに、見返して愛おしむこともこの詩形ならではの働き。ただごとに終わるか、新鮮な発見になるかは紙一重だろうが、一瞬の心の動きと愛情が読み手に伝われば十分ではないか。『浮力』(2011)所収。(三宅やよい)
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