May 2052014

 ひばり揚がり世は面白きこともなし

                           筑紫磐井

白いとは不思議な言葉だ。語源は面は目の前、白は明るさを意味し、目の前がぱっと開けるような鮮やかな景色をさした。のちに美しいものを見たことで晴れ晴れとする心地や、さまざまな心の状態も追加され、滑稽まで含む多様性を持つ言葉となった。面白いかどうかとは、すなわちそれを探求あるいは期待する心が言わせる言葉なのだろう。掲句がともすると吐き捨てるような言い回しになってしまうところを救っているのが、軽快なひばりの姿である。空へとぐんぐん上昇する雲雀を目を追っていることで、鬱屈した乱暴さから解放された。時代を経て付け加えられ、ふくらみ続ける「面白い」に、またなにか新しい側面を見ようとする作者の姿がそこに見えてくる。『我が時代』(2014)所収。(土肥あき子)




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