April 0342014

 学生でなくなりし日の桜かな

                           西村麒麟

学や社会人になる喜びと桜を重ねた句は山ほどあるけど、この句の感慨を詠んだ句はあるようでない。既視感のある視点をずらした表現に読む者をひきつける切なさがある。学生から社会人へ移行する見納めの桜。入学式ごと、学年があがるごと見てきた桜ともお別れ。自由で気楽な学生時代が終わるということは、親に依存してきた長い子供時代の終わりでもある。これからは自分の力で世間を渡っていかなければならない。先の見えないのはいつの時代も一緒かもしれないが、通勤途上で会う新入社員とおぼしき人たちの顔つきを見ていると、これから社会に出て行く喜びより不安の方が大きいのではないかと思ってしまう。『鶉』(2013)所収。(三宅やよい)




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