February 23 2014
思案橋ブルース三寒四温かな
瀬戸正洋
もし、居住地を自由に選べるなら、長崎に住んでみたい。江戸時代、オランダ人や中国人が駐留していたので、クレオール(混成)文化がいち早く形成されていて、たとえば卓袱(しっぽく)料理や長崎ちゃんぽんに代表されます。また、精霊流しやおくんちといった祭も派手で大がかりです。おくんちは、諏訪神社の氏子祭りですが、これは隠れキリシタンを改宗させて氏子にする目的もあったようで、質素倹約を旨とする江戸時代にしては例外的に派手な祭が許されていたといいます。したがって、多数のキリシタンにとっては受難の地であり、一方で原爆、水害といった痛みを記憶している町でもあるので訪れる者の足を立ち止まらせます。掲句の思案橋は、旧丸山遊郭の入り口で、花街へ行こうか行くまいか、思案のしどころだったことに由来します。1968年、長崎のキャバレーの専属だった中井昭・高橋勝とコロラティーノのデビューシングルにして唯一のヒット曲が「思案橋ブルース」です。この曲は、西田佐知子、美空ひばりらもカバーしており、同時期の長崎で別のキャバレーで専属だった内山田洋とクールファイブもカバーしていてYouTubeで聴けます。行ったり戻ったりの思案橋と、季節のそれの三寒四温。付かず離れず、調べのある句です。『B』(2014)所収。(小笠原高志)
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