February 0722014

 手が冷た頬に当てれば頬冷た

                           波多野爽波

りつくように手が寒い。その手を頬に当ててみると、頬の方が冷たかったという驚き。頬より手の方が、寒さに対し敏感なのだろう。この句、主体を自分と考えることもできるが、「手」が冷たい人物と、「頬」が冷たい人物は、別人であると解釈することもできよう。「手が冷たい」と言ったら、傍にいた人が、「私のほっぺたに触ってごらん」と答えた。触ってみると、自分の手より、相手の頬が冷たかったのである。いずれにせよ、この句、口語調で、メルヘンチックな趣がある。『一筆』(1990)所収。(中岡毅雄)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます