January 1412014

 東京は寒し青空なればなお

                           高野ムツオ

京という文字には、都会・混雑・高層ビル群など、全てのイメージが詰め込まれている。宮城在住の作者の感じる東京の寒さとは、気温だけではなく、人間性や景色も含まれるものだ。高層ビルの隙間に見える空の切れ端が抜けるように青ければ青いほど、その無機質の物体との取り合わせが不気味に寒々しく感じさせるのだろう。そういえば、実家の母もひとりで東京には出てこない。やはり「寒いから」が理由で、それは静岡という温暖な場所に住んでいるせいだと取り合わなかったが、もしかしたら母もまた、気温とは別の寒さを訴えていたのかもしれないと、鈍な娘は今さらながら思い至ったのだ。〈瓦礫みな人間のもの犬ふぐり〉〈みちのくの今年の桜すべて供花〉『萬の翅』(2013)所収。(土肥あき子)




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