January 1112014

 ぬるるもの冬田になかり雨きたる

                           水原秋桜子

やかな年末年始だったが、寒の入りの5日あたりからぐっと冷えこんでいる。そんなからからの東京に雨の予報、十二日ぶりだというが、この句の冬田も枯れ色に乾ききっていたのだろう。作者はかなりの時間、冬田を前に佇んでいたにちがいない、そこに雨。あ、雨、と気づくのは一瞬のことであり、それからあらためて冬田が雨に包まれていくのをじっと見ている作者である。景の広がりと共に時間の経過がこの短い一句の中に感じられるのは、冬田と雨、以外何もないからだろう。その省略が、寂寞とした冬田に自然の美しさを与えている。『秋苑』(1935)所収。(今井肖子)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます