December 062013
招き猫水中の藻に冬がきて
波多野爽波
招き猫は、前足で人を招く形をした猫の置物。商売繁盛の縁起物とされている。店頭に置かれてあったりするのを見ることが、よくある。招き猫は、本来、おめでたいものであるが、この句では、そのような既成概念が、招き猫から払拭されている。中七以降、「水中の藻に冬が来て」は、あたかも、招き猫が、冬を呼び寄せたかのようである。作者の感情は、負の方向に働いている。ユーモラスな招き猫が、不気味な存在であるかのように感じられる。『骰子』(1986)所収。(中岡毅雄)
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