November 282013
巻貝の渦ゆきわたる冬銀河
花谷和子
空気が冴えてくると星の輝きにも寒々とした光が宿る。巻貝の渦とは螺旋状に巻く殻の形状を表しているのだろう。銀河系の星の渦を巻貝の殻のかたちと重ね合わせたことで、海辺に生息する巻貝から数知れぬ星々を巻く銀河系宇宙とへと想像が広がっていく。まさに極小の詩形である俳句が極大なものを表現することができる見本のような句だ。巻貝の殻を「渦」と捉えたところに冬銀河との隠喩が生まれるのだが、その類似をつなぐのに「ゆきわたる」という言葉を配したことがこの句に宇宙へと広がる躍動感を与えているように思う。『歌時計』(2013)所収。(三宅やよい)
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