七五三。私のころは、戦争中でそれどころではなかった。(哲




20131115句(前日までの二句を含む)

November 15112013

 暗幕にぶら下がりゐるばつたかな

                           波多野爽波

っ黒な暗幕に、緑色の螇蚸がぶら下がっている。その一点の景がクローズアップされている。この螇蚸、決して、愛らしいモノとして描かれているのではない。むしろ、無韻の中、不気味な心象風景として表現されている。暗幕というモノと螇蚸というモノ。それぞれが、単独で描かれれば、別に、何ということはない。しかし、暗幕というシチュエーションのもと、そこに見出された一匹の螇蚸は、強烈な違和感を読者にもたらす。その違和感が、モノの実在感・存在感をありありと感じさせる。『骰子』(1986)所収。(中岡毅雄)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます