November 012013
下るにはまだ早ければ秋の山
波多野爽波
秋気澄む秋の山。登ってから、しばらく時が過ぎたけれども、まだ下るには早い。もう少し、時を過ごしていよう。言葉としては描かれていないけれども、この秋の山、紅葉が見事なのかもしれない。いずれにせよ、心の中を過ぎった秋の山への親しみの思い。表現は簡明であるけれども、心に残る。これが、他の季節ならば、この情感は出てこない。「秋の山」ならではの一句。『鋪道の花』(1956)所収。(中岡毅雄)
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