October 26 2013
潮騒の人ごゑに似て温め酒
上田日差子
旧暦九月九日が寒暖の境い目、その後は酒を温めて飲むと体によいとされていたという。今年は先週の日曜日、十月十三日だったが、立て続けの台風襲来で寒暖の差が激しく、なかなかそんな気分にもなれなかった。まあでもさすがに日が落ちれば肌寒く、あたためざけ、ぬくめざけ、がしっくりくるようになって来たこのところだろう。温め酒は一人で、せいぜい二人差し向かいでやるのが似合っている。広い居酒屋などでゆっくり飲むうちに酔いがやや回って来て、周囲のざわめきの中に身を置いていることが妙に心地良くなってくることがある、なるほど潮騒か。人ごゑの潮騒に似て、では広がりがなくなる。などと思ったが普通に考えれば、作者はかすかな潮騒に耳を傾けながら少し人恋しくなっているのだろう。いずれにしても、温め酒、に趣が感じられる。『和音』(2010)所収。(今井肖子)
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