October 22 2013
稲雀ざんぶと稲にもぐりけり
大島雄作
山道で迷っても雀を見つけることができれば人里が近いのだと安心するという話しの通り、雀は昔から人間と生活をともにしてきた。実った稲を食べるための害鳥でありながら、害虫を捕食する益鳥でもあり、長らく共生関係を築いてきた。歌や民話にたびたび登場するのは身近な鳥であるとともに、その可愛らしい容姿によるところも大きい。実際の雀は人間に対して臆病で、用心深いというが、雀同士は相当のおしゃべりで遊び上手だ。欣喜雀躍という言葉がある通り、ちゅんちゅんと鳴きながら、飛び跳ねる姿はなんとも無邪気で楽しそうだ。掲句は一面の波打つ稲田に雀たちが賑やかに出入りしている。きっと稲穂を波頭に見立てた波乗りごっこが開催され、母雀に「遊びながら食べてはだめ」などと叱られているに違いないのだ。〈鷹柱いっぽん予約しておかむ〉〈ここからの山が正面更衣〉『春風』(2103)所収。(土肥あき子)
『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます
|