October 20 2013
樹も草も時雨地に呼ぶ峡の国
飯田龍太
峡の読みは、キョウ。山あいにはさまれた谷で、作者が住む山梨県、旧境川村です。山から谷の斜面にかけて、樹が草が、垂直を志向しながら生えていて、谷間に続いています。「時雨地に呼ぶ」とは何なのだろうかと考えております。何が呼ぶのか。ふつうに読めば、樹も草も時雨を地面に呼んでいる、でよいのでしょう。ただ、この句は、「峡の国」が地形としてダイナミックなので、地球規模の大きな構想で読んでみたいとも思います。樹の根も草の根も地球の中心を志向しており、時雨も同様、地球の引力に引き寄せられて落下しています。何が呼んでいるのか。それは、地球の中心、重力が呼んでいて、峡の国ではその垂直の力が視覚化されやすいのでしょう。「地」は重力と読みました。物質に質量を与えるヒックス粒子が報道されていて、全く理解できていないのですが、すこしばかり俳句の読みに影響しているかもしれません。『春の道』(1971)所収。(小笠原高志)
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