October 13 2013
一歩出てわが影を得し秋日和
日野草城
秋のやわらかな日差しを窓外に見ていると、少し身なりを整えて、この日曜日、外出しようかという気になります。晴天の日、家の中と外では文字通り、ケとハレの違いがあるように思われます。外に出るときは、少しはにかみながら晴れがましくもあります。掲句は、作者自らの足どりを微足(スローテンポの歩み)の舞踏家を見るように示しています。「一歩出て」には、家の中から外へ出る一歩に、相当なエネルギーを要しています。ふだんは病に身を横たえている作者は、直立歩行して得られた「わが影」を見て、自ら立って、生きている姿を確認しています。この姿は、秋日和を照明にした、作者の晴れ舞台のようでもあるでしょう。共演者は脇から支えている妻。しかし、観客は誰もいません。ただ、「わが影」を見ている作者自身が、演じる者と観る者の二役をこなしています。『人生の午後』(1953)所収。(小笠原高志)
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