September 19 2013
雀蛾に小豆の煮えてゐる匂ひ
ふけとしこ
俗に「イモムシ」と呼ばれるものは雀蛾の幼虫のようである。雀蛾の幼虫は地中にもぐって蛹になり、独特の三角形の翅をもつ成虫に羽化するという。以上はネットで得た雑駁な情報だけど、何より「雀蛾」という名前が魅力的だ。色鮮やかな蝶にくらべ夜間活動する蛾は色も地味であまり歓迎されない。掲句では、迷い込んだ雀蛾が台所のどこかに止まっているのだろう。蛾は蝶のように翅をたたまない。水平に翅を広げたままじっとしている雀蛾は壁に展翅されたように見える。そんな雀蛾に暗赤色の小豆が煮える匂いがしみ込んでゆく。何気ない日常の情景だが夏から秋へとゆっくり変わってゆく夜の時間と秋の色彩を感じさせる佳句だと思う。「ほたる通信 II」(2012.10)所収。(三宅やよい)
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