台風接近中。昔はあちこちから釘打つ音がしてきたものだ…。(哲




20130915句(前日までの二句を含む)

September 1592013

 秋の山一つ一つに夕哉

                           小林一茶

化二(1805)年、43歳の作。一茶が北信濃柏原に帰郷定着するのが文化九年、50歳で、その間、江戸・柏原往復を六回。双方に拠点を作ります。その後、三度結婚するのだから強い。掲句の秋の山は、旅の途上か郷里の山か。一日の終わりに、じっと佇んでいるとき、まだ色づき始めてはいない秋の山を、東から西へ、一つ、一つ夕(ゆふべ)の茜色に染めていく、その色合いの変化。それは、色彩が変化する様を、ダイナミックな日時計のように視覚化した情景です。一方、同じ文化二年に「木つつきや一つ所に日の暮るる」があり、夕(ゆふべ)の一茶は視点が動いていったのに対し、「日の暮るる」一茶の視点は、一つ所に目を遣っています。「木つつき」の音の向こうは、日暮れから闇へと移り変わっていく時の経過です。さらに、寛政年間、たぶん30歳頃の作、「夕日影町一ぱいのとんぼ哉」。村ではなくて町なので江戸でしょう。夕日を浴びて、赤とんぼは深紅です。夜は漆黒の闇であった時代、夕日、夕(ゆふべ)、日暮れの光と色は違っていたことを、一茶の目は伝えています。『一茶俳句集』(1958・岩波文庫)所収。(小笠原高志)




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