September 07 2013
さりさりと梨むくゆびに朝匂ふ
清水 昶
今朝も梨をむいた、いただき物の二十世紀梨。とにかく早く食べないと日に日に味が落ちてしまう、とばかりどんどんむいて食べ、母や妹のところに持っていき、残りは保存容器に入れて冷蔵庫に。暑い中帰宅して食べると、冷やしすぎで甘みは落ちているかもしれないが、みずみずしくて美味しい。さりさり、は梨を食べている感じだが、この句の梨は、さりさりと剥かれている。私など急いでいるからさっさと四等分して芯を取ってしまうが、この梨は包丁を皮と実の間にうすく入れられながら、ゆっくり回っているのだ。その清々しい香りを、朝匂ふ、と詠んだ作者は、隣で梨を剥く妻の指をじっと見ているのかもしれない。平成十二年九月十二日の作。『俳句航海日誌 清水昶句集』(2013)所収。(今井肖子)
『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます
|