何でもない光景のようだが、中七の「ただ開いてゐる」に注意。「開いてをりたる」ならば、単なる情景描写だが、「ただ開いてゐる」と表現すると、通常の空間は、異次元の空間に変化する。玄関の外には、虚無感ただよう生々しい茂りが広がっているのだ。何気ない日常から切り取られた風景は、作者の心の中で、不気味さを増している。『骰子』(1986)所収。(中岡毅雄)
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