August 22 2013
父と姉の藪蚊の墓に詣でけり
澤 好摩
お盆には連れ合いの実家のある広島に帰り山のふもとにある先祖代々の墓所に詣でるのが習いだった。田舎の墓は都会の墓と違い藪蚊が多い。周辺の草を抜き、花を供え線香をあげる間も大きな藪蚊が容赦なく襲いかかってくる。掲句の墓もそんな場所にある墓なのだろうか。この句の情景を読んで明治28年に東京から松山に帰って静養した子規が、久しぶりに父の墓参りをしたときに綴った新体詩「父の墓」の一節を思った。「見れば囲ひの垣破れて/一歩の外は畠なり。/石鎚颪来るなへに/粟穂御墓に触れんとす。/胸つぶれつつ見るからに、/あわてて草をむしり取る/わが手の上に頬の上に/飢ゑたる藪蚊群れて刺す」故郷を離れてしまうと係累の墓を訪れることもままならず、久しぶりに訪れた墓の荒れた様は心に甚くこたえるものだ。遠くにある墓を思うことは故人を思うことでもある。今年の盆も墓参りに行けなかった。草刈もせず、お供えもしないまま過ぎてしまった。と、苦い思いを噛みしめている人もいることだろう。『光源』(2013)所収。(三宅やよい)
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