August 15 2013
水際に兵器性器の夥し
久保純夫
このところ必要があって戦争に関する書籍を30冊余り読んだ。戦地から帰還できた人達の背中には遠い異国で戦死した人々の無念が重くのしかかっている。戦線の攻防は川や海で、繰り広げられる。戦闘が終わった水際に、戦死者の身体や武器が夥しく投げ捨てられている。戦いの終わったあとの静寂を戦死者の局部と打ち捨てられた武器の並列で言い放つことで、名前も過去も剥ぎ取られ横たわっている骸と水漬く兵器がなんら変わりのないことをえぐりだす。前線で命を落とすのは大上段から号令を発する上層部からは遠い名のない人間ばかりである。今回、さまざまな記録を読んでいたく考えさせられたが、幼い頃山積みにされた戦死者を写真で見たときのおびえをいつまでも忘れたくないと思う。『現代俳句一00人二0句』(2003)所載。(三宅やよい)
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