阪神の悪い癖。もう一押しという時点で巨人に付きあってしまう。(哲




20130714句(前日までの二句を含む)

July 1472013

 七月のなにも落さぬ谷時間

                           秋元不死男

月は、花も散らない。木の葉も落ちない。蝉の脱け殻が落ちてくるには少し早すぎる。梅雨が明け、雨も降らない。空は雲もなく晴れていて風もなく、谷の斜面の樹木は、濃い緑の葉を繁らせている。動くもののない谷間の時間は静止している。秒針が動いて、日が傾いて時の経過を知るわけですが、なにも落ちてくるものがない真昼の谷間では、静止画の中に入れられたような感覚に陥って、時間の迷子になった気持ちなのかもしれません。あるいは、なにも落とさぬ樹木や生物に、生命の緊張を感じとり、谷の空間に平衡が保たれている状態を谷時間としたのかもしれません。七月は、一年の中でも中間に位置します。植物や動物と、空と地形とが、あるバランスをとっていて、俳人は、偶然にもその中点に立つことができた。谷時間とは、そのような立ち位置に居て、初めて感得できる言葉なのかもしれません。詩の言葉であり、哲学の、自然科学の言葉のようでもあります。詩と哲学と自然科学の中点。なお、前書に「秩父・高麗郷」とあります。昭和五十年、七十四歳の作。二年後第四句集『甘露集』(1977)に所収するも、刊行を待たずに永眠されました。(小笠原高志)




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