June 28 2013
はしれ雷声はりあげて露語おしう
古沢太穂
まず「はしれ雷」がいいな。俳人は季語を気にして歳時記を携行する。「それ季語の傍題(副題)にあるから大丈夫」なんていう会話は日常だ。例えば梅雨という季語なら、僕の持っている文庫本の歳時記には走り梅雨や梅雨夕焼など傍題が11個並んでいる。その中から自分の句に合う傍題を選んでくる。それは既製服を選んでくるということだ。たった17音しかない詩形のまあ5音を、吊ってある棚から選んでくる。言葉との格闘、ひいては自己表出の戦線を自ら狭めていることにならないか。「はしれ雷」は新鮮、斬新。この作者の個人的な言葉になっている。「おしう」は「教う」。旧文法で現代仮名遣いは太穂さんの特徴。マルクス主義の信奉者でその党派の人。古典の教義で現在を変えようとした太穂さんらしい選択だ。『古沢太穂』(1993)所収。(今井 聖)
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