June 19 2013
梅雨ごもり眼鏡かけたりはずしたり
ジャック・スタム
英文:shut in by rain / putting on my glasses / taking them off。故ジャック・スタムは知る人ぞ知る英文コピーライターで、俳人との交流も少なくなかった。ドイツ生まれのアメリカ人だったが、俳句は自ら英語と日本語で書いたほどの日本通。眼鏡はしょっちゅう曇るから、日に何度もはずしては拭かなければならない。まして梅雨どき、降りこめられて家から出られないときの鬱陶しさはかなわない。「かけたりはずしたり」の厄介さは、眼鏡をかけている人にとって梅雨どきならずともたまらない。「梅雨ごもり」などという古風な表現は、現代俳人の句にもあまり見られない。もっとも、梅雨であろうが、かんかん照りであろうが、現代人はこもってなんぞいないで、クルマでどこへでもスイスイ出かけるかーー。ジャックは趣味が幅広かった。十三年間親しく付き合って、俳句も手ほどきしたという江國滋は「(ジャックは)なんの因果か、日本語で俳句を作る趣味にとりつかれてしまった」と指摘しているが、句集には日本語と英語両表記の秀句がならぶ。1987年「日本語ジャーナル」誌の俳句コンクールで金賞を受賞した。他に「入梅の底を走るや終電車」「ひらがなでおいしくみえる鰻かな」もある。『俳句のおけいこ』(1993)所収。(八木忠栄)
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