June 13 2013
玉手箱風なり 開ければさくらんぼ
伊丹三樹彦
山形名産「佐藤錦」を送っていただいたことがある。蓋を開ければぎっしりと大粒のさくらんぼがきれいに詰められていて、ルビー色に光るその美しさにため息が出た。詰められた箱は何の変哲もない白い果物用のダンボールだったのだけど、蓋を開けたときの感嘆はまさしく玉手箱を開けたときの驚きだった。掲句では、そうした感嘆の比喩ではなく詰められている箱そのものが玉手箱のようなので「玉手箱風」なのだろうか。この「〜風」が謎だけれど、箱詰めにされた「さくらんぼ」ほどきらめきが魅力的な果物はないように思う。その美しさは虚子の「茎右往左往菓子器のさくらんぼ」の自在さとはまた違った魅力がある。『続続知見』(2010)所収。(三宅やよい)
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