June 11 2013
洗はれて馬の鼻梁の星涼し
鈴木貞雄
馬は栗毛や葦毛などの毛色とともに、顔や脚にある白斑が大きな特徴になる。額にある白斑を「星」と呼び、額から鼻先へ流れるそれを「流星」と呼ぶのは、いかにも颯爽とした馬に似つかわしい美しい名称である。乗馬を終えた馬は思いのほか汗をかいており、夏はクールダウンのため水をかけることもある。鞍を外し、水を浴び、全身を拭いてもらった馬は誰が見ても「あー、気持ちよかった」という表情をする。長い年月人間と関わってきた動物には、言葉はなくとも意思をやりとりできる術を心得ているのだろう。あるじの手入れの労に応えるように、洗い立てのつやつやした四肢を輝かせ、頭をぶるんとひと振りすれば、額の星がひときわ白く映える。それはまるで夏空にきらめく涼やかな星のように。〈てのひらに叩き木の芽を覚ましけり〉〈二番子にやや窶れたる燕の巣〉『墨水』(2013)所収。(土肥あき子)
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