May 24 2013
「観入」を説きて熱砂に指を挿し
山口誓子
実相観入とはどういうことか。この用語の発案者斎藤茂吉自身であろうとなかろうとどちらでもいいが誰かがその説明をしていて熱砂に指を差し込んだ。実相観入とは子規提唱の「写生」をその筆頭信奉者である茂吉が解釈したもので、視覚的な対象に自己を投入して、自己と対象とが一つになった世界を「写生」の本義とした短歌理論。当時は俳人も多くがこの理論に影響された。見えるものの中に自己を没入させる。その没入の説明がこの指先になるのであろう。一句「ひねる」という俳諧風流の俗の残滓から文学性を拾い上げようとする当時の俳人たちのエネルギーが伝わってくる。『構橋』(1953)所収。(今井 聖)
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