凄いなあ、アメリカの巨大竜巻。「凄い」はこういうときに使う。(哲




20130522句(前日までの二句を含む)

May 2252013

 老いてなお浮雲の愁いおお五月

                           伊藤信吉

齢をどんなに重ねても、人の思いは浮雲のように行方定まらないものかと思われる。自分でも齢を重ねるにしたがって、そのあたりのことはますます頷けるような気持ちがしている。若者の愁いにせよ、高齢者の愁いにせよーー人はまともに生きているかぎり、愁いがなくなることはないのかもしれない。信吉は九十五歳で亡くなったが、掲句は亡くなる二年前の作である。「老いてなお」という表現に、作者の深い思いや苛立ちといったものが感じられる。けれども諦念はしていない。「おお五月」という結句に「老い」を易々とは受け入れない、きっぱりとした気持ちが強く感じられて、むしろすがすがしいし、健やかである。私は伊藤さんに頻繁にお会いしたわけではないけれど、飾らず構えない、さっぱりとしたお人柄だった印象が残っている。エッセイでご自分の句を「演歌俳句」と書いたことがある。生前唯一の句集に『断章四十六』がある。1936年〜2003年までの俳句を収めた全句集『たそがれのうた』(2004)があり、掲句はそこに収められている。晩年の句に「上州ぞ吹くぞさびしいぞ空っ風ぞ」がある。上州群馬の人だった。(八木忠栄)




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