May 13 2013
糸底にサンドペーパー緑さす
ふけとしこ
長い間茶碗などを買ってないから、すっかり忘れていた。新しい陶器類を求めると、糸底がざらついているものがあって、そのまま使うとテーブルを傷つけたり、重ねた他の食器を引っ掻いてしまうことがある。「糸底」とは「本体をろくろから糸を使って切り離すところから」陶器の底を言う。「糸尻」とも。そのざらつきを滑らかにするために、サンドペーパー(紙やすり)で糸底を磨くのである。気の利いた店ならば買ったときに磨いてくれるが、句の場合はどうだったのだろうか。「緑さす」とは若葉影が映ることだから、新緑の美しい屋外の陶器市での情景かもしれない。いずれにしても、真新しい陶器の肌に若葉の色彩が微妙に写り込んで細かく揺れている。もうそれを見ているだけで、「夏は来ぬ」の清々しくも初々しい感情がわいてくるのである。「ほたる通信II」(2013年5月)所載。(清水哲男)
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