May 10 2013
蜘蛛の子の散りたる後の蜘蛛と月
加藤楸邨
同じ号の楸邨発表句に「すれちがふ水着少女に樹の匂ひ」がありそちらの方に眼を取られてこの句を見過ごしていたのだった。この句、子に去られたあとの親蜘蛛に思いを致している。蜘蛛に感情などあろうはずもない。子を産み育てるのは本能だ。しかし、子がたくさん去ったあとの親蜘蛛の孤独がこの句のテーマ。蜘蛛をおぞましい対象として捉える「通念」への抵抗も感じられる。「もののあはれ」とはこういうことなんだろうなとあらためて思った。「寒雷・350号記念号」(1962)所載。(今井 聖)
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