March 28 2013
もう春の月と呼んでもいい親しさ
中西ひろ美
朝晩、犬の散歩で東の空を見上げる。冬の月は寒々とした空に鋭く光って、冴え冴えとしており峻厳と言った形容が似合う。その月がぼんやりと湿気を帯びた空気に黄色味が強くなり雪洞のような温かみが感じられるようになるとコートを脱いで身軽に歩ける春の夜の訪れである。「外にも出よ触るるばかりに春の月」の中村汀女の句が懐かしく思い出される。3月に入って、昼は初夏のような陽射し照らされ、夜は冬の寒さに震えたりとジェットコースターのような気温の変化に悩まされている。今か今かと開花準備をしていた桜もさぞとまどったことだろう。この頃は着膨れないで犬の散歩に出かけられるようになった。今宵は満月、やさしい春の月が浮かぶ空を見上げながら掲句をほろりと呟いてみたい。『haikainokuni@』(2013)所収。(三宅やよい)
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