あれから二年が経った。苦しみに耐えている人たちの胸中を思う。(哲




20130311句(前日までの二句を含む)

March 1132013

 石楠花の蕾びつしり枯れにけり

                           照井 翠

色の花が咲く、いわゆる「アズマシャクナゲ」の蕾だろう。例年ならばそれこそ「びっしり」とついた蕾が春の到来を告げてくれるのだが、それが今年はことごとく枯れてしまっのだ。枯れたのは、今日でまる二年目になる福島の大津波のせいである。かつて見聞したこともない異常な光景だが、この異常は自然界にとどまるわけにはいかなかった。「気の狂(ふ)れし人笑ひゐる春の橋」。作者は釜石市で被災した。「死は免れましたが、地獄を見ました」と句集後記にあり、また「三・一一神はゐないかとても小さい」という極限状況のなかで、辛うじて正気を保つことができたのは、長年携わってきた俳句のお陰だとも……。ここで読者は少し明るい気持ちにもなれるのだが、昨今のマスコミが伝えている現在の福島の様子には、依然として厳しいものがある。何ひとつ動いていないと言ってもよいだろう。直接に被災はしていない私などが、机上から何を言っても空しいとは思うのだけれど、他方で何かを言わなければ気が済まない思いがむくむくと頭をもたげてくるのも正直なところだ。『龍宮』(2012)所収。(清水哲男)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます