March 02 2013
猫の舌ふれて輪を描く春の水
檜山哲彦
雪解水を湛えた湖や川、春の水は豊かである。この句の場合は猫が飲んでいるのだから池なのか、飼い猫なら小さな器の中のわずかな水ということになる。猫はどんな風に水を飲むのだろう、と検索したら、一秒間に数回という速さで舌を上下させて、本能的に流体力学を利用して優雅に飲んでいるのだとある。動画を見たら、うすももいろの舌先が水面に繊細にふれるたび、水輪の同心円が次々に生まれていた。水が動けば光も動く。猫をやさしい眼差しで見守りながら、そんな小さな水にも春を感じている作者なのだろう。『天響』(2012)所収。(今井肖子)
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