January 31 2013
グリム読む天井に出し雪の染み
石井薔子
この頃は「青空文庫」で昔懐かしい童話が手軽に見つけられる。この句に触発され、さっそくグリム童話の「白雪姫」を電子書籍版でダウンロードしてみた。何と日本語訳は菊池寛になっている。「むかしむかし、冬のさなかのことでした。雪が鳥の羽のようにヒラヒラと天からふっていましたときに、ひとりの女王さまがこくたんのわくのはまった窓のところにすわってぬいものをしておいでになりました」と物語は始まる。寝床に入って暗い天井を見ながら母親に読んでもらった童話の数々。天井にしみ出した雪の染みが動物に見えたり、魔法使いの顔になったり、ぼんやりと見つめるうちに深い眠りに引き込まれてゆく。絶え間なく降り積もり雪は雪国では死活問題だろうが、東京に住む私にとっては別世界の象徴でもある。雨の染みではなく「雪の染み」なればこそグリム童話が似つかわしいのだろう。『夏の谿』(2012)所収。(三宅やよい)
『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます
|