January 29 2013
パイプオルガン冬の木立のやうに
浦川聡子
パイプオルガンのパイプは一本でひとつの音が出る仕組みなので、音の数だけパイプが必要となる。オルガンの外観から突出しているものだけでなく、裏側には大小のパイプがまさに林立している。音色を増やすほど巨大になる楽器は、基本的な音色に加え、太いパイプを使ったあたたかな音色、細めのパイプを使ったバイオリンやチェロのような音色、またトランペットやオーボエのようなリード系の音まで無数の種類を網羅し、東京芸術劇場の世界最大級といわれるパイプオルガンはおよそ9,000本というものだ。さまざまな楽器にそれぞれにふさわしい季節があるとしたら、楽器の王様と呼ばれるパイプオルガンの深々と広大な音色は間違いなく冬を思わせる。冬の木立は、風をまとい、鳥を羽ばたかせ、どさりと雪を振り落とす。木の葉で隠すことのない潔い直線を天上へと放り出す。かの劇場のパイプオルガンは残念ながら現在メンテナンスだが、また広大な木立が奏でる冬の音色に身をゆだねてみたい。〈ピチカート次々飛んで冬の星〉〈掲げ持つホルン銀色冬ざるる〉『眠れる木』(2012)所収。(土肥あき子)
『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます
|