January 19 2013
雪催木桶二つに水張られ
茨木和生
雲はどんどん厚くなり空気は冷たく、今にも雪になりそうな気配が雪催。東京に住んでいるとそうそう体感することはないが、先週の日曜日の夕方に近所まで出かけた時、これは来るぞというまさに雪催を実感した。その空の色はただ灰色とか暗いとかでは表現できない圧迫感に満ちており、まだ風は無かったが空気の一粒一粒がきんと凍っている。これは明日の分まで買い物をして帰ろう、明日は雪見て巣籠りだね、ということになったがまさにその通りになってしまった。掲出句は翌日、成人の日に籠りつつ読んでいた句集『往馬』(2012)にあった。目の前の木桶にかすかな風がふれてゆく。水面には冷たい漣が立ち、映っているのはまさに前日に見たあの空なのだろう。どこにどんな木桶が置かれているのかわからないが、小さく張られた水が雪催の持つ得も言われぬ重さと静けさをくっきりと表している。(今井肖子)
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