December 27 2012
煤逃げにパチンコの玉出るは出るは
吉田汀史
正月を迎えるために積もり積もった塵や埃を掃きだす「煤払い」いわば年末の大掃除。「煤逃げ」は歳時記によると「煤からのがれるため病人や老幼が別の部屋や他家へ行くこと」とあるが、近年は掃除から逃げるためどこかへ行って時間を潰す意に使われることが多いようだ。ガラスの拭き掃除や車洗いにいそしむご主人様も多いだろうが、大抵の男どもはどこかへ行ってしまう。掲句はバタバタと始まった大掃除に自分からぶらっと外へ出たのだろう。時間つぶしに入ったパチンコ屋で気のない様子で玉をはじいていたら、まぁ何と「出るは」「出るは」チンジャラジャラとあふれるほどに入りだして足元にはぎっしり玉の詰まった箱が積みあがる。そんな風景だろうか。血眼になって勝とうとしてもちっとも出ないのにどうしたことか。予想外の展開に目を丸くしている様子がどこかユーモラスで思わずにやりとしてしまう。『汀史虚實』(2006)所収。(三宅やよい)
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