November 08 2012
日本海時化をる柿の甘さかな
しなだしん
私は瀬戸内の端っこにある神戸で育った。瀬戸内の島へ渡るフェリーや海釣りの小型船に乗ったことしかないが、荒れ狂う海を見た覚えがない。大人になって日本海や太平洋の島々へ船で渡る機会も増えたが、驚いたのは少し天候が悪くなると海がその様相を一変させることだった。定期船が欠航になったその日に小さな漁船が木の葉のごとく高波に上下する様を島の浜から眺めているだけで船酔いしそうになった。特に日本海は北西の季節風が吹く冬場なると波高く荒々しい海へ変貌するようだ。「時化をる」とあるから数日同じような海の状態が続いているのだろう。日本海に取り囲まれた佐渡島には「おけさ柿」という高品質の柿がある。柿が甘くなるのと海の時化とは関係がないだろうが掲句を読むと荒波に揉まれることで柿の甘味が増すように感じられる。『隼の胸』(2011)所収。(三宅やよい)
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