October 12 2012
秋の夜の畳に山の蟇
飯田龍太
蟇穴を出づといえば春の季語。蟇だけだと夏の季語。この句秋の夜の蟇だから理屈でいえば冬眠前の蟇ということになろうか。山国ならではの実感に満ちた句だ。一句の中に季語を二つ以上用いるのはやめた方がいいと初心の頃は教わる。まして季節の異なる季語を併用するのは禁忌に等しい。そこを逆手に取って最近は敢えて一句に季語を二つ以上使ってみせる俳人もいるが技術の披瀝を感じるとどこかさびしい。この句、季語を二つ使ってみました、どんなもんだの押し付けはない。自然で素直で、インテリジェンスもダンディズムも感じない。本当の本物だ。『蛇笏・龍太の山河』(2001)所収。(今井 聖)
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